旅立ちの時 (ちびのリンパ腫まとめ 最終回)
前日、夕日を見た後二階に連れてきたら、自ら寝室の窓際のお気に入りスポットに行き、そのまま夜までそこにいました。
ちびは元気な時からこれまでずっと「自動ゴロゴロ機か!」というぐらい、私が触れたとたんに大音量でゴロゴロ言う子でした。具合が悪くなってからも、「ちびくん。」っていうと必ず高音で「んー!」と返事をしてくれて、すぐゴロゴロ言ってくれました。
そんなちびが、その日の夜寝る前には返事もできなくなり、ゴロゴロも耳をすませばかすかに聞こえる程度になっていました。
2021年4月25日 ((リンパ腫治療開始後94日)
夜中の録画を確認すると、落ち着かない感じで寝室とリビングの間をあちこちうろうろしていて、早朝私が起きたときにはリビングの冷たいタイルの床で寝ていたので、慌てて寝室のいつも寝ていたベッドに移動させました。
ここ数日、寝たり起きたりで頭を寝かせて熟睡することは少なくなっていたのだけど、
6:50 この日は久しぶりに頭を横にして寝ていました。
いや、寝ていたというよりももう頭を上げる力が残っていない感じでした。
「ああ、今日なんや。」
直観的にそう思いました。
その日は日曜日で休みだったこともあって、今日と言う日はもうできる限りずっとちびのそばにいようと思い、先に主のごはんや他のにゃんずの色々用事を済ませていると
7:09 キャットタワーの下に移動し、ここで寝ていました。
ここは固くて寝にくいだろうと思ってベッドに戻しましたが、
7:40 またふらふらとこちらに下りてきて、そのまま倒れこむように横になりました。
何度かベッドに戻したけど、なぜかそのたびにここに戻って来るので、
ちびの意思を尊重してここで寝かせてあげました。
もういよいよなのかとしばらくそばで寄り添っていましたが、
案外普通に寝ているだけだったので、まだ大丈夫なのかと思って
その間にとりあえず朝食の洗い物をすませてしまおうといったんキッチンに戻って
カメラでちびの様子を見守りながら洗い物をしていました。
あゆちゃんに見守ってもらいながら。
8:52 それまで横になって寝ていたちびが突然頭をぐーっと伸ばして体をそらせるようにしたので、慌ててそばに行って抱き上げるともう首に力が入らず呼吸がちょっとだけ荒い状態。
「ちびくん、大丈夫。おかあはんここにいるよ。
何にも心配することないよ。」
膝に抱いて話しかけていると、そのうち顎を上下に動かして呼吸する『下顎呼吸』が始まりました。口を魚のようにパクパクさせるような呼吸です。
前に紹介した本によると、下顎呼吸は『最終の着地態勢に入った印』であり、この下顎呼吸が始まると(人間では)残された時間が24時間程度で、病院なら「ご親族を呼んでください」と言われるタイミングなのだそうです。
でも、ちびの場合はこのままとてもじゃないけど24時間も残っている気がしなかったので、気がつけば自分の思いのたけを泣きながら叫んでいました。
「ちびくん、今までよーがんばったな。えらかったな。
ありがとうな。おかあはん、ちびくんのこと大好きやで。
ちびくん、えらかったよ。いっぱいがんばったな。
しんどいのにいっぱいいっぱいがんばってくれてありがとうな。
もう大丈夫やで。
もうしんどいのもなくなるからな。
またいっぱい食べられていっぱい遊べるようになるからね。
もうすぐあゆちゃんと文ちゃんにーちゃんに会えるよ。
何にも心配することないよ。
ちびくん、今までいっぱいいっぱいありがとうな。
うちの子になってくれてありがとうな。
ちびくんはおかあはんの宝物やで。
大好きやで。」
それまで毎日何万回も言ってきたことばを
何度も何度も繰り返しました。
もう意識は朦朧としていて聞こえているかどうかはわからないけど、
精一杯の愛情と、精一杯の感謝をただただ伝えたくて。
私の最期のことばがちびには届いていると信じて。
しばらく荒かった呼吸がだんだん遅くなってきて
はーっと息を吸い込みました。
多分、あれが最期だったのだと思います。
8:55am
目が開いたままだったので正直いつ息が止まったのかわからなかったのですが
最期は苦しむことなく私の腕の中で眠るように穏やかに旅立っていきました。
多分、あゆみと文太が迎えに来てくれたのだと思います。