猫の転嫁攻撃
ちょっと前のこと。
幸多がにゃーにゃー言いながらあっち行ったりこっち行ったりしてたかと思ったら
ガレージの勝手口でじーっと外を見ていました。
そこにいたのは、うちのガレージで自分ちのようにくつろぐ茶トラさん。
最近よくうちの周りをうろついている野良ネコさんです。
2年前の春にも同じような茶トラ君をちびのかーちゃんと一緒に見かけていたので
もしかしたらちびのとーちゃんかも?疑惑のある子です。
(まだ若そうなので、全然違うかもしれませんが。)
なんと、そばに人間@おかあはんがいてバシャバシャ写真を撮っているのも知りながら
そんなことはお構いなしに大胆にもこちらに近づいて来るではありませんか。
自分がさんざん呼んだくせに、本当に来られると焦る幸多。
この後、パニクった幸多が興奮MAXでそばにいたちびに本気で攻撃。
あわや大惨事になりかけたので、即そばにあった段ボールでふたりの間に垣根を作り
お互いを見えないようにして引き離しました。
このように、外で見知らぬ猫を見かけて興奮し、攻撃をしかけようにも手の届かないところにいる場合、そばにいる同居猫や飼い主に襲い掛かる行動を「転嫁攻撃」といいます。幸多のそれはまさしく見本のような転嫁攻撃でした。
今まですごく仲良しだった同居猫が突然ケンカをするようになったというような場合、転嫁攻撃の可能性大です。
こうなったときに、絶対にしてはいけないことが三つ。
●叱る
これはしつけでどうにかなる問題ではなく、猫の本質の問題です。飼い主が大声を上げるなど(猫にとって)怖いことをすることによって猫の興奮を更に煽り、火に油を注ぐ結果になりかねません。
●なだめようと抱き上げたりなでようとしたりする
パニックに陥っている猫に触ると100%噛まれたり蹴られたりします(しかも大けがをするぐらい本気)。
●同居猫たちのケンカを放っておく
転嫁攻撃で本気のケンカになってしまっている場合、一刻も早く引き離す必要があります。
飼い主から見れば全く理由が思い当たらず、攻撃をしかける猫が『突然』豹変したように思われるかもしれませんが、それは原因となるもの(主によその猫など)が人間が気づいたときにはもうその場にはおらず、かと言ってそれを見てしまった猫の興奮がそうそう簡単には治まらないからということが考えられます。
以前「犬猫の行動と脳の働きの関係」で書きましたが、理性や感情を司る脳の前頭葉が猫の場合人間と比べて10分の1(犬と比べても半分)しかなく、感情を操るのが苦手なのです。(それゆえ猫はマイペースだったり、意固地だったりするし、引っ越しどころか模様替えすら心的負担をかけることになるのです。)
人間でも前頭葉は成長するにつれて発達するそうで、幼稚で自分勝手だった子供が年とともに思慮深くなると言えばわかりやすいでしょうか。
転嫁攻撃はいわば八つ当たりなのですが、恐れや怒りで興奮した猫にとって、もはや自分が攻撃している相手が同居猫だろうが飼い主だろうが、もうパニくりすぎて誰だかわかっていないのです。
例えばですね、暗闇で誰かにつけられているとします。怖くなったあなたは必死で逃げて物陰に隠れます。そこで震えていると誰かに腕を掴まれるとします。すると、どうなるか?恐怖で暴れて何とか逃れようとしますよね?(サスペンス劇場にありがちな設定ですが)
でも、よく見ればそれは暴漢ではなく自分の友達だったり、恋人だったり、旦那様だったり、たとえ愛する人であっても恐怖に駆られた人間がいきなり体を触られると、防御本能からとっさに攻撃的になって暴れるんじゃないでしょうか。
まぁ、転嫁攻撃とはそういう感じじゃないかなぁと私は思っています。
では、こんな場面に出くわした場合どうすればいいか。
①原因となるものを取り除く
外にいる猫に興奮しているのなら、外が見えないようにカーテンをするなど
②ケンカをしている猫たちを引き離す
ただし、上にも書いたようにこのとき興奮した猫を抱き上げようとすると100%本気で噛まれるので、猫に触らず手を叩いたりそばにあるものを叩いたりして大きな音を出して猫たちをびっくりさせることで引き離し、できれば別々の部屋に隔離する。(特に、攻撃的になっている猫をひとりにすることが大事。)
飼い主が標的になっている場合、攻撃的になっている猫から逃げる
我を忘れてしまっている猫に「うちのかわいいこーちゃんだから大丈夫」は絶対に通用しません。
③お互い(特に攻撃的な猫が)完全に落ち着くまで隔離し、放っておく
冷却期間を置くことが一番の解決策です。普通はしばらくしたら落ち着きますので、落ち着いていつも通りの行動であることが確認できるまではとにかく放っておくのが一番。(興奮した猫たちを会わせることを焦らないことも大事!)
ケンカを始めてしまった場合、どれだけ早く引き離せるかがポイントで、早ければ早いほど関係修復が簡単で(すぐにいつも通りの仲良し猫に戻ります)、長引けば長引くほどその後は一緒の空間にいられないほど関係がこじれてしまうこともあります。
で、うちの場合その後どうなったかというと、幸多を別の部屋に誘導して落ち着かせた後、ちょうどごはんの時間でもあったので幸多にごはんをあげました。(いつものように食べる前のなでなでの儀式@愛の確認もいっぱいして。)
するとちびもそこにやって来ました。最初は幸多の姿を見て少し警戒していたのですが、幸多がいつもと変わらない様子だったので、すぐにちびも警戒を解き、仲良く一緒にごはんを食べました。(一緒にごはんを食べる、という行動も「自分と同じ仕草や表情・動作をしている相手に好感を抱かせる」というミラーリング効果が期待できます。)
そうして、すぐに元通りになりました (^^)
めでたし、めでたし♪
ちなみに、幸多が発狂していたとき、世界のケーサツ@文太が「何事や!?」と様子を見に来て介入しようとしていたのですが、その状況では文太も確実に幸多にやられるので、全力で阻止していました (^^;)
いやぁ、しかし元はといえばあの茶トラ君がまさかこっちに近づいてくるとは夢にも思わず油断した私のせいでもあるので(距離がある分には幸多も大丈夫だったんです)、今後はもっと気を付けようと反省した出来事でした。
●参考文献
*猫の「困った!」を解決する
*Starting from Scratch: How to Correct Behavior Problems in Your Adult Cat
*Cat vs. Cat: Keeping Peace When You Have More Than One Cat
*Making Animals Happy: How to Create the Best Life for Pets and Other Animals
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