「ガンと共存する」という考え方
文太は「扁桃扁平上皮癌」です。前にも書きましたが、扁桃扁平上皮癌について調べてみると、進行がものすごく早いとか抗がん剤も反応が悪いとか予後はきわめて不良とか、どの資料を見ても希望を持てる要素は何一つなく、本当に気が重くなることしか書いてません。
手術の後、主治医の先生にも「体力の許す限りいろんなところにお出かけして、想い出をたくさん作ってあげてください。」と言われて、「ああ、やっぱり先は長くないんやな。」と思いました。そして、その覚悟もしていました。たとえ先は短くとも、最後までごはんが美味しく食べられるのならばそれが本望でした。
ところが、ですよ。
どうも、ごはんが美味しすぎたようで。(笑)
最近我が家では「手術後リンパ節に新しくできたしこりは、実は腫瘍じゃなくてただの大きめのイボなんじゃ!?」疑惑があるぐらい、術後驚異の快復力を見せてただの元気なジジィになってくれた文太。
そうなると、こんなに元気なのにある日突然具合が悪くなることは今のところあまり考えられないし、たとえば心臓発作とか脳梗塞とか腎不全や肝不全などは医学の知識が全くなくともどうなって死に至るのかは想像がつきますが、「そもそもガンって体の中で何がどうなったら死ぬんやろ?」ということを全く知らないことに気づきました。
死に至るプロセスを知った上で、そうならないように努力すれば、たとえガンが体にあるままでもこれからも普通に生活できるんじゃ?と、思うようになり、そういうことも含めてガンについてもっとよく知りたいと思ってとりあえず入門的に買った本です。
ガンの免疫療法を臨床研究されている先生(医学博士)の本で、犬ではなく人間のガンの話ですが、難しい専門用語を一切使わず、私のような理系の話が大の苦手な人間でもガンやその治療方法のことなどがざっくりとよくわかる本でした。(医学的に詳しく理解されたい方には物足りないかも。)
この本に書かれていたのは
「いくらがんが進行しても、死ぬ理由をみたさなければ絶対に死なない」
「がんが転移しただけでは死なない」
ということ。これこれ、私が一番聞きたかったこと!!
では、どうなれば死ぬのかというと、
「がんが増え続ける細胞である以上、いずれは転移した細胞が増えて、生命を維持するために必要な臓器の機能を低下させ、命を失う可能性はある」
けど、
「肺なら半分以上、肝臓なら3分の2以上の機能を失うまでは生命は維持できているので、死ぬことはない」
のだそうですよ!!
それを思うと、やはり文太の場合はあのまま手術をしなかったら腫瘍が気管と食道を圧迫して、呼吸困難と摂食障害による栄養不良で死んでいた、ってことなんやろうなーと。
そして、今文太が元気でいられるのは、今のところ抗がん剤のおかげか癌細胞が大きくもならずにおとなしくしていて臓器がダメージを受けていないのと、たくさん食べているので栄養がしっかり摂れていて臓器が元気に働いてくれているからなのかな~と。
癌細胞が体の中に「ある」だけでは死なないし、これ以上増えて臓器の機能が低下しない限りは死なない、ということなので、私が目指していた「がんをやっつけるのではなく、暴走を防いで平和に共存」という考え方もあながち間違っていたわけじゃないんだと改めて知って嬉しくなりました。
そして、この本には
「がん治療の本当の目的は、がんを治すことではなく、元気に長生きして、そしてできれば本来の寿命をまっとうするまで生きること」
とも書かれていて、もう、ガッツポーズですよ。
文太もそれを目指します!
今日もしっかりお散歩。
そして、よく寝ました~。
16歳というエベレスト、登るぞー!!
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